「ソフト」(佐野書記)

 一カ月前の話題で恐縮だが、先月出雲ドームにおいて、いずも曹洞宗青年会ソフトボール部会による練習が行われた。

ソフトボールやソフトテニスには「ソフト」という言葉が付く。「ソフト」という言葉が付くことによってボールが柔らかくなるから不思議だ(体に当たればもちろん痛いのだが…)。

「ソフト」とは、柔らかで優しい様子という意味だ。この「ソフト」が、単語の語頭に付くと意味が変化する。

他には例えば、ソフトドリンク。ドリンクは飲み物一般を指すが、ソフトドリンクになるとアルコール分の入っていない飲み物、私のような下戸の救世主となる。

食べ物に付く「ソフト」の代表選手は、ソフトクリームではないだろうか?ソフトアイスクリームの通称でアイスクリームよりも温度を下げずに作るので柔らかい。クリームからも柔らかい印象を受けるが、そのクリームに更に「ソフト」が付くことによって生じる柔らかな印象は、ソフト業界の中でもナンバーワンではないだろうか?命名者の遊び心も窺い知ることができる。また、ソフトクリームは、店頭で制作して販売することが多い。形よいものを効率よく迅速に提供するまでに、店員の方は日々修練を繰り返すそうだ。『今、作っています』というライブ感覚も売りの一つだ。

このように「ソフト」と付くと「元のソフトではないもの」と様々な視点で比較ができる。柔らかで優しいだけではなく、救世主となったりライブ感覚を引き出したり、身近な印象を与えたりと、とても「ソフト」な活躍ではない。
 
ところで、お寺だって住職だってこの「ソフト」を導入する必要がある。
ハートも強いが強面(こわもて)でハードボイルドな印象の私も「ソフト」なお寺・「ソフト」な住職として来年こそは、ソフト業界にソフトタッチで新規参入しようとひそかに計画中だ。

書記 佐野晃孝

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