うまいもの(副所長)

            うまいもの

 

 うまいものといっても、どれほどうまいのか、なぜうまいのか、私の味覚やその時の雰囲気や体調でも味は違って来ます。甘い物をうまいと思ったり苦いものをうまいと思ったり人によっても当然異なっています。

ある方丈様が「うまいうまいと言って食べると何でもうまい」と言われ感心したことがありました。またある老師様に「お味はどうだったでしょうか」とお聞きすると「うまかった。でも胃袋に入ればみな同じじゃ」と言われ納得したことがあります。それ以来、私も「うまいうまい」と言ってつい食べ過ぎることがあります。

さて、子供の頃からトマトは独特の香りと味で好きになれませんでしたが最近では改良され、品種も様々で甘くてうまくなりました。一本で1万個もなる品種があるそうです。葡萄もイチゴも梨も、ほどよいすっぱさと甘さの品種がどんどん販売されるようになりました。米でも野菜でも研究されてうまいものが登場しています。

 人気のラーメンも9号線はラーメン街道と言われるようにうまい店がたくさんあります。近頃、私がこんなうまさに改良されてしまいそうです。豊かな食生活が出来る時代でも「食べることは多くの命をいただくことである。多くの方の努力によっていただける。」という感謝の言葉「いただきます」「ごちそうさま」を忘れてはならないと思います。

ある食料調査で日本は年間約5,500万トンの食料を輸入しますが、1,800万トンは捨てており、内1,000万トンは家庭から捨てたものと報告されていました。家庭から出る残飯の総額は11兆円、その処理費用で2兆円が使われているそうです。世界には飢餓に苦しむ人がたくさんいます。うまいものを分け合えば幸せが広がります。

  食べる量を少し減らし、食べ残しをしない。

  捨てるような無駄な買い物をしない。

  地域のうまい農産物を購入する。

 等々無駄をなくし幸せを広げてこそ真の豊かな食生活と言えるのではないでしょうか。

                              (副所長 楫野光範)

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