犬と暮らして初めて知ったこと(事務員)

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生まれて4ヶ月の柴犬を我が家に迎えてから、まもなく2年になります。迎えてからというもの、フェイスブックは犬の写真で埋まり、話すことも犬との生活に関することが増え、「犬バカ」「犬好き坊主」などとも呼ばれるようになりました。犬を迎えるまでには夫婦で丸一年悩み、ペットショップで犬を見るたびに心が揺れたものです。近所のペットショップで決心して犬を抱かせてもらったら、もう後には戻れず、迎え入れたというわけです。

犬と暮らし始めて環境が変わると、それまではあまり気にかけなかったことにも注意が向くようになりました。その一つが、保健所で殺処分される多くの動物たちのことです。

全国で、年間約20万頭の犬や猫が保健所に持ち込まれ、その半数以上が殺処分されているというデータもあります。また持ち込まれるうちの4万頭近くが飼い主からだといういいます。最近では動物愛護団体などの仲介によって、譲渡されて新たな環境で生活できる犬や猫も年々増えているようです。

譲渡会などを主催しているNPO法人の方にお話を伺ったところ、飼い主からひどい扱いを受けたり、見捨てられてしまった場合には、いわゆる人間不信になり、その後人と生活するのが困難な場合もあり、なかなか引き取りが難しいケースがあるそうです。また飼い主の転勤や引越しなどで飼うことができなくなったという理由で、保健所に持ち込まれるケースがあるようですが、引き取り手がいなければ殺処分されることは免れません。飼い主の都合で殺処分される動物もいたたまれませんが、どうしようもなく手放した愛犬、愛猫の行く末が殺処分というのは、飼い主にとっても不幸なことです。

テレビのドキュメンタリーで、青森県の農業高校での「命の花プロジェクト」を知りました。殺処分された動物の遺骨を譲り受け、レンガで砕き、それを土に混ぜて花を育てるという取り組みで、育てた花はイベントなどで配られているそうです。この取り組みには賛否があるようですが、生徒さんたちのレンガを手にためらう表情や、殺処分の現状を訴える姿に、犬と暮らす一人として殺処分を深く考えるきっかけになりました。

私が犬と暮らして初めて知った現実ですが、飼い主を離れた犬も、犬を手放した飼い主も、ともにその後が幸せである社会になればと願います。(事務員 上野泰裕)

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