増える空き家問題…「墓じまい」に続き「家じまい」の時代に(糸賀梅花主事)

 “心霊スポット”としてインターネットなどで紹介されている岡山県の廃ホテルへの侵入を防ごうと、警察が作成したチラシのコピー「幽霊以外立入禁止 それでも侵入しますか?」が話題になっているそうです。でも、そうなるとそれをわざわざ見に行ったり写真を撮ってネットに上げる人が出てきますから、センスがいいというのもどうだかなあと(笑)。行くこと自体がダサいみたいな方が、人が集まらないのになあと思ったりします。

 こういう話は日本全国に結構ある事みたいです。気の廃墟ツアーで建物に入って誰かがケガをした場合の責任等、廃墟と言われる施設の問題を紹介されました。建てられた時代と今では建築法や耐震基準が全く変わっていますから、本当に危険な“ツアー”も数多くあるはずです。

ちょっと前に「BSよしもと」放送記念特番内で、ニュースをわかりやすく放送する「ワシんとこ・ポスト」(月~金PM7:00-9:00)の特番番組で出た企画で、これだけリモートが進んでいるのなら手を入れてリモートワークの場所にできないかという案が出ました。さびれてしまった鬼怒川温泉が有名ですが、温泉宿や観光ホテルはもともと立地条件の良い場所にあるので、手を入れて再利用するという考え。ただ、実際問題として、債権等かなりハードルが高いそうです。

 空き家問題も又、切実です。私の親世代、戦後の景気が右肩上がりだった頃は郊外に一戸建てを建て、子どもの数だけ個室があってという時代。ところが、今そういう人の家に伺うと、子どもの数だけ納戸になっている(笑)。兄弟姉妹が結婚や嫁ぎみんな家を出てしまったので、ご多分に漏れず納戸が3つ。そういうお家が増えてきています。他人事ではありません。だんだんそういう空き家も増えているそうで2033年には空家数も現在の2倍、一般住宅の4戸に1戸が空き家になるんだとか。

 それを売りたいとなった場合、例えば隣接している家が5軒も6軒もあるような広い敷地面積の角度のある家なら、そのすべての利権者と一緒に土地を確定する測量が必要。土地を売るまでに何年もかかるという話もよくあるそう。高度成長期の象徴だったおしゃれな「団地」。これも五階建ての団地でエレベーターがなければ年配の方は辛いだろうとか、「家」というものでいろいろな問題が起きてきているのです。

 

 「墓じまい」という言葉がありますが、そろそろ「家じまい」というのも考えないといけない時代なのかなと。親の世代の夢のマイホーム・郊外の一戸建てが、やがて子供世代の負担になる時代が目の前に来ています。昔ならその家は息子が継ぐのが普通だったのでしょうが、子供には子供の夢、都合があり、親の夢を子供が引き継ぐ、というのがなかなか難しい時代になりました。なんだか寂しいですね。

 

 

梅花主事 糸賀一峰

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