宗務所ホームページの大意 ~危ぶめば道はなし~(教化主事)

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 今年もお盆が終わりました。年々暑さが厳しくなるこの時期ですが、師寮寺のある松江市東出雲町では、盆の入りに雨が降ってから、時折涼風が過ぎ、ずいぶんと凌ぎ易い気候となってきました。そのお陰か、棚経疲れも、例年よりいくらか少ないような気がします。みなさまは、それぞれのお盆をどのようにお過ごしになられたでしょうか。

 

 さて、先月の末から宗務所のホームページを開設し、前回の「宗務所執務帖」では、所長より開設に当たってご挨拶を頂きました。 その中でも所長が触れておられましたが、当該ホームページは所長にとっても宗務所にとっても「夢」であり、念願でした。

 

 実は、開設準備委員会は平成25年に初招集されており、紆余曲折経て、今回の公開に至りました。初招集当時、現所長は副所長、私は一委員でした。しかし、当時の私は乗り気ではありませんでした。

 

 「宗務所のホームページ」という金看板を掲げることは理解できても、その内実が、今ひとつ判然としなかったからです。一体、インターネットユーザーのうちのどれだけの人が、「曹洞宗宗務所のホームページ」というある種特殊な分類のサイトから情報を得ようとするのか。コストや実作業とのバランスが悪くはないだろうか。

 

 実際、全国で66ある曹洞宗宗務所のうちホームページを運営しているのは約11宗務所。ほぼ全ての宗務所がEメールアドレスの取得をしていることを踏まえるとその数は少なく、宗務所の情報とインターネット発信が、必ずしも親和性が高いとは言えない実態が伺えます。

 

 しかし新しい宗務所体制になって、若輩である私が教化主事の任命を受け、合わせてホームページの担当になったことで、現所長の当該事業に対する並々ならぬ熱意を感じずにはいられませんでした。ホームページを一手段ではなく、より包括的な宗務所の機能として位置づけておられることが窺えたからです。

 私は、師寮寺でこそホームページを運営していませんが、全国曹洞宗青年会に委員として出向していた当時、ホームページ運営に長らく関わっていましたので、その経験を生かすことを期待されたのではないかと思います。

 

 

 ホームページ運営で個人的に教訓としているのが、平成23年3月に発生した東日本大震災です。あの時、マスメディアも情報が混乱した中で、全曹青は現地本部を設置し、情報を発信し続けました。私は遠い島根の地からではありましたが、日々途切れることのない様々な情報を整理し、正誤を確認しながら、全曹青のホームページや特設ブログに掲載しつづけました。その時期、ホームページのアクセス数が大幅に増え、(曹洞宗という分類に特化された)被災地の現状やボランティア情報として、重宝された実感がありました。 

 日頃ホームページを運営し続けていたから、有事にも適切な情報対応ができたのだと、確信しています。

 

 そこで、私は今回の企画で提案したのが、「CMSの採用」と「ポータル型のサイト構成」です。

 

 CMSとは、コンテンツ・マネジメント・システムの略です。簡単に言うと、ホームページのソフトが、パソコンの中ではなくインターネット上にあるので、いつでもどこでも誰でも、ネット環境と、パソコンやデバイスさえあれば、基本的な文字入力だけで情報の更新が可能なシステムです。実際に全曹青のホームページは、このCMSで運用がされていました。

 

 「ポータル型のサイト構成」とは、宗務所単体の情報を発信するのではなく、その周辺情報も含めて、一旦ホームページに集約し、まとめ見る機能性のことです。

 具体的には、宗務所の内部構成団体や外郭団体(「教区会」「寺族会」「護持会」「いずも曹洞宗青年会」「婦人会」)の活動予定と報告も集約しています。 

 また、曹洞宗、全国曹洞宗青年会、駒澤大学、ラジオNIKKEIの曹洞宗提供番組「私の書いたポエム」については、RSS(リッチ・サイト・サマリー)で更新情報が逐次確認できます。

 また、およそ100サイトの情報をモニタリングし、同時に開設したfacebookで、新刊紹介や関心を呼びそうな記事として情報をシェア(公開共有)しています。

 これらの情報を収集するために、各教区・各団体で「ホームページ協力員」を任命し、主にfacebookから情報提供をして頂いています。

 今後は、全国で発信されている法話のアーカイブ化や、管内の各寺院情報の提供などを展開する予定です。

 

 対象ユーザーは、管内寺院や檀信徒を直接の対象して想定しています。当該ホームページは「グローバルな機能や手段を使って、ローカルに発信し循環させる」ことをコンセプトとし、受益の目的や対象を敢えて絞り込むことで、最大公約数的な利用価値を見出すことを目指した、「曹洞宗島根県第二宗務所による情報『サービス』サイト」だと言えます。

 

 ひとまず大枠が整い、何とか公開にこぎ着けた宗務所ホームページ。今の心境は、

 

「危ぶめば 道はなし~わからなくても 歩いていけ」
 

という、清沢哲夫の詩の一節の通り(一部抜粋)です。

 

 今後一層、内容の充実(特に受益面)を図っていきたいと思いますので、ご法愛を賜りますと幸甚です。

 

(教化主事 板倉省吾)

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