2月10日。6月に予定されている檀信徒本山研修会の旅程で拝登する、滋賀県高島市朽木の興聖寺様に、事前視察に行って参りました。
興聖寺と言えば京都・宇治の興聖宝林寺が真っ先に思い出されますが、同名なのには理由があり、かつて道元禅師が京から越前へ向われる道中、この地が興聖寺のあった伏見深草に似た景観だと喜ばれて、同名の寺院建立を勧められたことに由来しているためです。現在でも、安曇川の広い河川敷が宇治川のそれを彷彿とさせます。
ご住職の森泰孝老師に山内をご案内頂きましたが、お話を聞いて驚いたのは、開山堂の懐奘禅師像(当寺のご開山)が、元は永平寺承陽殿(御真廟)にあったもので、逆に現在の承陽殿の道元禅師の御真像は、元は朽木興聖寺に安置されていたとのこと。かつて火災で焼失した御真像の代わりに永平寺に奉納した際、その代償としてに拝領されたそうですが、承陽殿の御真像が秘仏であることを考えると、当寺で懐奘禅師像に見えることができるのは、大変貴重なことと思われます。
また島根県民としては、戦国武将尼子家が当寺の開基である佐々木家の末流であり、寺紋が「隅立て四つ目」なのも、興味深いところです。
その他、国の重要文化財にしていされている御本尊釈迦如来坐像や、名勝・旧秀隣寺庭園など、見所の多い「もう一つの興聖寺」。
檀信徒本山研修会で再び訪れるのが楽しみです。(教化主事 板倉)