ズートピア(森田書記)

妻が観たいというので公開中のディズニー映画「ズートピア2」を観に行った。

ちなみに今作は続編。1作目の「ズートピア」は2016年に公開され大ヒットした映画だが、私は見たことが無かった。続編公開を機にテレビで放送していたようだが、生憎見逃したので配信サイトでレンタルして予習として視聴したのだった。

3歳上の姉が居た事は関係あるのか無いのかわからないが、子供の頃からディズニー映画はよく観ていた。トイストーリー、ライオンキング、美女と野獣、アラジンなど・・・何度も観てどれも大好きだし、今でも歌も憶えているほど。中学生くらいから自然と離れていき、新作が公開されてもテレビで放映されても特に追う事はなかったが、昨今のディズニー映画のイメージとしては、所謂「多様性」を訴える内容を全面に押し出した作品を多く製作しているという事ぐらいであった。

本編を観てもいないのにネットの評判(特に悪評)だけは見聞きしてしまうのが現代の嫌な所で、ここ数年のディズニー映画は評価の面でも興行の面でも不振が続いていたようだ。

「ポリティカルコレクトネス」=「政治的正しさ」への配慮を前面に出し続けた結果、テレビCMも多く目にしたような大作「ウィッシュ」実写版「リトルマーメイド」「白雪姫」など興行不振を招き、CEOも交代、軌道修正を余儀なくされたようだ。

話をズートピアに戻すが、今回「2」を観に行くにあたり、予習として観た「1」だったが、これがとても良い映画だった。

草食動物と肉食動物が共存共生する夢の国「ズートピア」を舞台に、ウサギの警察官ジュディとキツネの詐欺師ニックが協力して問題を解決する所謂「バディもの」だ。

ジュディは子供の頃から警察官になる夢を持っていたが、「かわいいウサギは警察官になれない」とからかわれ「見た目で判断しないで」と言い返す。その後過酷なトレーニングを経て警察学校を主席卒業、見事警察官となるがズートピアで種族や職業での差別に遭遇する。

差別を良しとせず人助けをするジュディだったが、キツネの詐欺師ニックとの出会いを経て自分の中に肉食動物への潜在的な偏見や、詐欺師を自称するニックへの先入観を自覚し協力しあって問題を解決していく。

勿論ズートピアは可愛い動物が沢山登場する子供向けのアクション映画で、2時間弱の上映時間、子供を飽きさせない工夫が次々と盛り込まれる。鑑賞後の感覚も「いい映画を観たな」と素直に思える気持ちのいい映画だ。そんな中に、多様性に対するメッセージを薄っすらと、しかし力強く盛り込んでいるバランス感覚は本当に素晴らしいと思った。動物というアイコンがメッセージを希釈する大きな役割を持っていて、嫌みが無い。これを人間で、実写映画で描こうとしたらこうはいかないのではと思う。

また、ディズニー映画につきもののミュージカルシーンが無いのもヒットに一役買っていると思った。劇中で歌うのは歌手の「ガゼル」のみで、ズートピアのトップシンガーという設定もあるので無理が無い。主役の2人が突然歌って踊って気持ちをぶつけあったりする事が無いのでミュージカルアレルギーの方にもおすすめできる。

総じて、老若男女が安心して観られる大傑作映画だと思う。

今回観て来た「2」も、「個」のアイデンティティや先住民の問題などのテーマを盛り込みつつ、くどすぎない塩梅、アクションも2時間空きが来ない作りで大変良かったので、子供さんを連れて観に行くのにぴったりだと思う。

書記 森田大裕

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