秋のお彼岸も明けて、お寺の周りの田んぼの稲刈りが概ね終わりました。稲株?の並ぶ田んぼを見るとなんだか冬に向っていく寒々しさを感じます。
5月、水が引かれキラキラと輝く水田に苗を植え、夏、青々と広がる稲をゆらす風に涼しさを覚え、気が付けば金色の稲穂の恵み。いのちのいとなみと季節の流れを肌で感じます。今年は稲刈り時期に田んぼが乾かず、稲刈り機がなかなか使えなかったようで、手で刈る姿をあちこちで見受けました。本当に大変な作業と頭が下がります。お米には八十八の手間と苦労がかかっているなんて言いますが、農家の方々の懸命な努力のおかげで私たちは食事をいただくことができるんだと感謝いたします。
さて、私が担当いたします梅花とは「梅花流詠讃歌」のことです。詠讃歌とは仏祖の教え、祖師方のことば(特に和歌)にメロディーを付けお唱えするものです。梅花流とは曹洞宗の詠讃歌の流派名称で、他宗派にも詠讃歌の流派は多数存在します。梅花流は平成27年で創立63年を迎え、約6,400の梅花講があり、約160,000人の講員さん(共に平成20年時点)が仏祖の教えに触れ、祖師のことばに親しみ、共に学んでいます。
その梅花流詠讃歌の中に
峰(みね)の色 渓(たに)の響きも みなながら
わが釈迦牟尼(しゃかむに)の 声と姿と
という歌があります。これは「詠法華経(法華経を詠ず)」と詞書された道元禅師が詠まれたとされる和歌の一首です。
自然は移りゆく季節の中でその姿をありのまま現し、その命を一心に生かしています。そこに懸命に向き合ってる人々には山々の姿も、流れゆく川の響き、風の音も仏(安らぎ)の姿であり、仏(安らぎ)の教えになるのではないでしょうか。「ありの~ままの~すがたみせるのよ~」ではなく「みつめるのよ~」の心を養うことが大切なのではないかな~なんて思ったりします。
これをご覧の皆様もぜひ梅花流詠讃歌を唱えてみませんか?仏さまの教えに出逢え、共に歩む仲間もいます。声を出してストレス発散、健康促進。興味のある方はお近くの寺院または宗務所までご連絡ください。
(梅花主事 大野道源)