こちらをお読みの皆さまは胡麻の収穫はいつ頃かご存知ですか?というか胡麻ってどういう植物で、どんな実をつけるかご存知ですか?と聞いた方が良いかもしれませんね。胡麻はそう、あの粒が小さくて海外ではセサミと呼ばれ、日本料理、精進料理にも欠かせない白や黒や金の種類がある皆さんもご存知のあれでございます。
現在の80代の方々が若かりし頃までは自宅の周りで栽培されていた様ですが、大概の方はここ近年栽培されているのを見てないと仰って、庭先にある胡麻の植わっているプランターを見ると『久し振りに見ましたわ~方丈さん、これ胡麻ですよね?』なんて言われておりました。
かく言う私も胡麻に関しては全然知りませんでした。それもそのはず、現在の日本の胡麻の自給率は1%にも満たず、そのほとんどが中東・北アフリカ・トルコ辺りからの輸入で賄っていることを知りました。道理で見たことが無い訳です。そして後から知ることになるのですが、何故に日本で段々と栽培されなくなってきたのか…それは日本の高度経済成長も関係してくるんですが、農業の発達により農薬が農地で使われるようなったのですが、植物の性質上、その植わっている土から農薬から何から広い範囲で吸収してしまうらしく、栽培には人体に影響があるような農薬が使えず、無農薬に近い農法で栽培せねばならない(生産量の歩留まりが悪い)というのと胡麻が実って収穫した後に食せる状態になるまで手間がかなり掛かることも一つ栽培されなくなった原因かも知れません…
しかし、この胡麻との出会いなんですが、3年前にとある雲南市にお住いの農園を営む方と知り合い、たまたま発芽する状態の『金胡麻』を分けて頂いてから當山で金胡麻の栽培が始まった訳でございます。
因みに上記の農園で栽培している胡麻は関西を中心に純国産金胡麻ということでかなりの高値で取引されているようで京都などの高級料亭などで使われているとのことです。で、その金胡麻の栽培の仕方をその農園の方に教わり、最初は庭先で3個のプランターで作り始めたこの胡麻なんですが、今年はプランターの数も20個まで増えてしまいました(笑)そろそろ畑で地植えした方がよいのではと思っていますが…
まず胡麻は五月の連休付近でポットに種を撒き、発芽し暫くしたらプランターに移し替えます。そこからグングンと伸びていき9月に入る頃には花が咲き始めます。花が落ちた後に実が出来て来て、その中に胡麻が詰まっている訳なんですが、実が枯れて乾燥してくると口が開いてくるんですがその頃が収穫の時期となります。
今年は十月の中ごろから実の口が開き始め、その口の開いた実だけを収穫しておりましたが、この度十一月に入ったところで全部を収穫致しました。そして収穫した実付きの穂はここから暫く乾燥させて、乾燥したならば穂を振って胡麻を落としていきます。ここで落ちた胡麻を集めると一旦は収穫したようになるのですが…ここからの食べれる様になるまでの塵取りが大変で(汗)鬼のような塵取りが終わって最後に乾煎りして作業終了となるのですが…かなりの時間を要します。
その労を厭わずやるのも一応目標があってのことでございまして、秋に収穫した自家製の金胡麻を売りにして翌年秋の當山の例祭で當山自家製の胡麻豆腐を参拝された方々にお分けしたいと思っているからでございまして…といってもプランター20個で収穫できる胡麻の量は多寡が知れておりますが…なるべく自家製の金胡麻の配分率を上げるべく増産しておりますが今年で漸くプランター20個です(笑)来年は30個になっているかも知れません。
梅花主事 糸賀 一峰