「二〇二〇年、これ始める」(佐野書記)

 「二〇二〇年、これ始める」

 明るかったはずの二〇二〇年。その展望はおろか、不安との闘いがいつまで続くのか。その終息はなかなか見えてこない。

 とはいえ四月、新年度は始まった。私は、一年の中で自分の年齢を三回、実感する。新年の一月、新年度の四月、誕生月の六月である。その中でも新年度は、「年齢を重ねても尽きることのない好奇心に突き動かされる」そんな気持ちで毎回迎える。

 毎春、体重計の数値に強い衝撃を受ける。四〇代になって体の変化を感じる。身長は変わらないと思うが、体重は年々増加の一途をたどる。視力の低下、目が悪くなったような気がする。口も悪くなってきた。

 変えたはずの食習慣や始めた運動習慣は、今も続いているだろうか?自問自答が始まる。今からでも遅くない。気づいたときがはじめどきだ。

「今年こそ、これ始める」を今年も始める。

 その① 
 いい加減、「先送り」はやめようと思う。

 宗務所への通勤や日常の買い物等はすべて車。宗務所の仕事も内勤。こうなると運動不足どころではない。運動をまったくしていないに等しい。その身で「老い」を感じながらも運動には無関心、健康には無頓着。すぐにでもできることは、とりあえず先送る。これを繰り返してきた。でも、そろそろやめにしようと思う。いい加減に重い腰を上げようと思う。

 これまでも、自坊を中心に長い距離を歩いたり走ったりしたことは何度もある。車でシュッと通り過ぎていた道端に花を見つけたこともあった。しかし、段々とコースがマンネリ化して飽きてしまい、今はご無沙汰してしまっている。自分は飽きっぽい性格だとつくづく実感する。

 今年は開催が中止となるものが多いと思うが、マラソン大会では多くの市民ランナーがコースを埋め尽くす。長距離を走ることができる人がこんなにいると思うと、本当に驚かされる。でも、逆にこんなにたくさんの人が楽しそうに走っているのだから、その気になれば私もできるかもしれない。さらにその気になれば、今からでも一年後の開催となった東京オリンピック出場に間に合うかもしれない。

 その① まとめ
 「先送り」をやめる。歩いたり走ったり、運動を始める。

 その②
 「意識改革」をする。

 時代が変わると、年齢を重ねると、ときに価値観はガラリと変わる。それは昨日までの常識が非常識に、非常識が常識になってしまうほどだ。だからこそ固定観念を捨て柔軟な思考を、必要に応じた意識改革をする必要がある。

 温暖化が進み、生態系は危険にさらされている。近年の異常気象は地球の悲鳴のようだ。さらに地球上では人口爆発の危機が迫っている。一九五〇年の時点で二五億人だった地球上の人口は、現在七七億人、二〇五〇年には九五億人に達するとみられている。現在、食糧生産が追い付かず深刻な食糧難が起こりつつある。特に「食肉」が問題視される。家畜の飼育には莫大な餌が必要である。また畜産の過程は、出荷等の輸送に伴う排気ガスの排出等、温室効果をもたらし環境破壊の一因となる。

 そこで今話題となっているのが、昆虫食だ。タンパク質やカルシウムが豊富で生産も簡単、収穫までの日数も早い。個体数も非常に多く、環境への負担が少ない。「コオロギせんべい」等すでに商品化されているものも数多い。

 私はあまり肉を食さないが、特段ベジタリアンでもない。「偏食家」である。年々増加傾向にある体重を気にしながら、ダイエット目的で昆虫食を始める。社会を変えるのは、行動する消費者だ。意識を変える。一歩を踏み出す。

 その② まとめ
 「意識改革」をする。食生活の改善を図る。
昆虫食。もうムシできない時代なのだ。

 総まとめ
 自分の体が社会を変える。運動することや食生活を変えることで自らの体について考える。自分の体を大切にすることが社会に影響を与える。

 ただ、焦る気持ちや間違った方法が、逆に健康リスクを生むこともある。正しい知識でまずは健康体を取り戻す。見えない敵と戦うためにも。

書記 佐野晃孝

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