庶務主事のお仕事4(庶務主事)

今回は庶務主事のお仕事4です。前回は「得度」についてお話させていただきました。

さて、今回は「得度」の次の修行「立身」についてお話しいたします。

 曹洞宗のお寺では、法幢師(ほうどうし)《結制寺院住職》と助化師(じょけし)《西堂》を中心に、3か月(九洵くじゅん)の修行をすることを「結制安居」(けっせいあんご)といい、集まった大勢の修行僧たちのリーダーとなる、首座(しゅそ)という職を定めます。

この期間中、首座は「法戦式」(ほっせんしき)という儀式で、仏法についての問答を通し、そのリーダーとしての力量を披露します。

こうした首座の務めを担うことを「立身」と称し、「結制安居」を終了したのち、首座を務めた和尚さんは「座元」(ざげん)をいう法階(資格)を得ることができます。

 

※「結制安居」と「法戦式」について

お釈迦さまがこの世におられた当時、雨季には、歩くだけで多くの生き物を殺生してしまうため、外に出て修行する事ができませんでした。よって、修行僧達が寺に集まるようになったのですが、これを「安居(あんご)」といいます。そして、安居の制を結ぶことを、「結制」とも呼びます。安居は、インドでは雨季のみであり、「雨安居」とも「夏安居」ともいいましたが、中国に伝わると夏冬2回の行持になったといいます。

そして、結制中、自ら修行僧の中に入り、合わせて先頭に立って指導する役職を、「首座(しゅそ)」と呼ぶようになりました。文字通り、修行僧の中での筆頭であり、住職の隣に坐り、その補佐をしながら修行するため、そう呼ばれたのです。

なお、お釈迦さまが霊鷲山においてお弟子の迦葉尊者にご自分の席を半分ゆずって説法を許されたという故事にならって、住職に代わって仏道の肝心なところを、修行僧に説法する儀式が出来ました。それを、説法の際に持つ払子を振るうことから「秉払(ひんぽつ)」といいます。そして、徐々にこの儀式が実用的になり、首座と修行僧達とで激しい問答を行うようになりました。

この様子を、首座が法を戦わせることから、「首座法戦式(しゅそほっせんしき)」といい、現在でも各地の曹洞宗寺院で行われているのです。なお、首座はこの法戦式を終えると、正式に「座元」という位に就き、同じく、首座に法戦式を任せた師匠(法幢師)は、大和尚の位に上られるのです。

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