道元禅師様は「正法眼蔵 菩提薩埵四摂法」の中で「愛語は愛心よりおこる、愛心は慈心を種子とせり」と示されています。この言葉はとてつもなく大きく、あたたかく響きます。 人の深いところを察して語りかけられるのが愛語なのですが、その愛語とはどこから生まれてくるのかと言うと、「愛心」から生まれるというのです。深く愛する心がないと愛語は生まれてこないのです。そして「愛心」はどこから来るのかというと「慈心を種子とせる」とあります。つまり「慈しみの心」を元とすることとなります。 慈しみとは、「慈念衆生猶如赤子の思いを・・」の言葉の通り、すべての人を自分が生んだ子どもと思うこと。人間ばかりではなく、この世の中の生きとし生けるものは、すべてこの自分の子どもであると、そう思う心が慈心であり、そこから愛心が育ち、愛語が生まれるということになります。 深く深く相手の心を思いやること、自分の子どものように大事にする心。そこから愛語は生まれてきます。この愛語は、人の生き方を大きく変えていきます。家庭に、学校に、そして社会に、今いちばん無くてはならないものは、この愛語なのです。(庶務主事 菊川清治)