新型コロナウイルス感染症に悩まされる日本と私(糸賀梅花主事)

 昨今、テレビでもネットでも盛んに報道や情報が流されているコロナウィルス関連のニュース。中国由来のこのウィルスによって日本の国民も感染者が出始め、丁度この文章を書いている最中が感染の収束か拡大か不明瞭な時期でもあり各種行事・イベントの中止や延期が次々と決まっている状況なのですが、宗門関連の行事も然り…私が担当させて貰っています5月の後半に開催予定でした梅花流全国奉詠大会北海道大会も中止の決定が宗務庁の方より出されました。5月の後半の行事ですら今の現状を鑑みるに、この先、収束か拡大か?と言っている時期ですので、多くの人が参加する行事の開催の是非には諸々のリスクを伴うもので、この時期での宗務庁の決定も苦渋の決断だったかと思います。

 他にも、3月に宗務庁で開催される一連の会議や研修会も中止となり、私の関係しております所では、全国曹洞宗青年会主催で3月10・11日に行われます東日本大震災慰霊法要関連の行事も地元青年会だけでの法要となり他県の青年会の受入れが中止が決まりました。
そのような観点から考えますに、今回のこのウィルスによる日本経済への痛手は如何ほどのものかと考えさせられます。特に観光産業は痛手を負って、倒産し始めていることがチラホラとニュースでも報道されているようですし。この状況で旅行やイベントの自粛や中止で人々の動きが停まる訳ですから、当然のようにお金の流れも留まってしまう訳ですよね…そりゃ、私個人にしても3月の震災関連の行事に参加ということになれば、行きと帰りの飛行機代・宿泊代・折角の東北ということであれば地元の食材で食事もしたいので食事代・お土産代・車も借りればレンタカー代等々、各業界に落ちていくお金があった訳ですが…それが今回のように多くの単位の人数で起きていれば、そりゃ経済や産業も鈍るし、株価も下がるわな…と何となく納得しておりますが…

 おまけに山内の東司(トイレ)のトイレットペーパーが無くなってきたので補充分を買いに行くとどこの店舗でも品切れ…紙オムツも制限が掛かっているという始末。噂が噂を読んで多くの人が買い込んでいるのでしょうが、これはこれで困ったものです。とは言え、いつの時代にもここ日本でも流行り病があった訳です。

 江戸時代に流行し、たくさんの人の命を奪った流行り病と言えば「天然痘・コレラ・梅毒」などがあります。

 天然痘、あるいは疱瘡は、飛沫や接触によってうつる感染症です。発熱・頭痛・発疹をともない亡くなる場合も多い伝染病でした。現在では天然痘の予防ワクチンが普及されこの病気に恐れることは無くなりましたが、江戸時代には「はしか」「水疱瘡」と並んで、子供の命を奪う病気として恐れられていました。天然痘のワクチンは1796年にイギリスのジェンナーが発見をし、日本には早くもその約20年後には漂流民によって持ち込まれていました。しかし幕府は当時、ワクチンに対して何の関心も示さなかったのだとか。日本でワクチンが普及され始めたのはその37年後のこと。再びこのワクチンがもたらされ、それ以後は西洋医たちによってワクチン接種が促されたといいます。

 コレラが日本で初めて流行したのは1822年のこと。この時は西から流行が広がったものの、箱根を超えずに江戸まで感染は広がりませんでした。ところが1858年におきた大流行では江戸を直撃してさらに北上。死者数は江戸だけでも2万8000人あまり、日本全土では10万~26万人とされています。その後は数年おきに明治時代まで流行は続きました。

 その他江戸時代に急激に蔓延した病気に「梅毒」がありました。梅毒はそもそも西インド諸島のハイチの風土病だったもの。それをコロンブスがスペインに持ち帰り、1493年にヨーロッパで大流行しました。そんな梅毒が日本に入ってきたのは1512年のことだと記録されているのだとか。もたらしたのは海賊「倭寇」で、江戸時代には花柳界を中心に大流行しました。徳川家康の次男・結城秀康も梅毒であったと言われています。

 他にも現代でも毎年寒い時期になると猛威をふるうインフルエンザ。インフルエンザは江戸時代からの流行り病で、特に江戸後期には何度か流行しました。

 日本で初めてはしかが流行したのは奈良時代のこと。江戸時代にはほぼ20~30年おきに10回ほど流行しました。子供に比べて大人は重病になりやすく、徳川綱吉の死因であったとも言われています。

 と、様々な流行病が日本でも猛威をふるった訳ですが…医学や情報が現代より乏しかった時代には収束までにさぞ時間を要したのであろうと推測されますが…その時には民衆の安心を得る為に祈祷行事などは行われていたであろうとは推測されますが、それ以外にその時代の宗教者の方々は何をしていたのであろうか?とふと思ったのでありました。
(梅花主事 糸賀一峰)

ページトップに戻る