永平寺にて感じたこと(西古教化主事)

 先日、大本山永平寺にて研修会があり参加して参りました。「孝順会」という永平寺布教師の会で、二祖孤雲懐弉禅師700回大遠忌の際に発足した会です。師匠も私が永平寺安居中に会員となり色々参加しておりました。師匠が退会したあと、事務局からお声かけがあり、今度は私が会員として学ばせていただいております。

毎年永平寺を会場に行われる研修会では、応量器を使用して朝昼晩と食事をいただきます。普段なかなか使用することがないので、研修会1日目の夕食前に応量器作法を確認する時間が設けられています。確認の後、今回は永平寺役寮さんと修行僧が給仕係となり、参加者一同応量器を使って食事をいただきました。ぴりっとしたご本山の空気の中、食事をいただく、大変有り難い時間でした。

食事をいただきながら、ある出来事を思い出しました。それは私が永平寺安居中だった頃、「孝順会」の研修会があり、ちょうど師匠も参加しておりました。食事の時間、私も給仕係として担当することになりました。安居中だった私は緊張もしていたので、どこに師匠が坐って食事をいただいているかはわかりませんでした。それから数年後です。この研修会に参加されていたある方丈様からこんな話を聞きました。

「あの時の研修会で、あなた浄人(給仕係のこと)をやっていたでしょう。その時あなたはお師匠さんに給仕していたの覚えてるかい?その時お師匠さん泣いていたんだよ。食事が終わったあと控え室で、弟子に給仕してもらったことを泣いて話してたよ。」

私は、師匠に給仕したことも泣いていたことも全く知りませんでした。この話を直接師匠から聞いたこともありませんが、この研修会に参加していた方丈様数名の方から同じ話を聞くことが今でもあります。

師匠がその当時、どんな思いだったのかはわかりませんが、今回食事をいただきながら、約20年前の出来事を思い出し、何とも言えない感謝の気持ちが沸いてきました。

 
(教化主事 西古孝志)

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