私の好きなこと(Ⅲ)(西古人権擁護推進主事)

 前回、私の好きな「食」に関することを書きましたが、今回はその中でも「食器」について・・・。

 皆さんも色々な食器を使って食事をいただいていることでしょう。

 この料理にはこの器がいいな、この器を使ってみたいからあの料理を作ろうかなと考える時間は私にとっては至福の時間です。

 もうかれこれ10年以上前に、ある器に出逢いました。

 東京にある永青文庫を鑑賞した帰り道、とある食器屋さんを見つけました。ふらっと入り、食器を見ていると、目にとまった器があったのです。

 それは織部焼の盃でした。形といいデザインといい、手に取りながらしばらく悩んでおりました。悩んだ結果、盃を元の場所に戻してお店を後にしました。しかし歩きながら、あの目にとまった盃が脳裏から離れないのです。

 「やっぱりあの盃欲しいなぁ、でもちょっと私には高いからやめておこうかなぁ。
  いやでも、この町に来ることはもうないだろうし、記念に買っておこうかなぁ」

 こんな風に歩きながら悩んだ結果、私はお店に戻ったのです。店員さんに

 「また戻ってきました(笑)、やっぱりこの盃下さい!」

と言っていました。私が求めた織部焼の盃、購入してからずっと私の1番好きな器になっています。そして日本酒をいただく時に、棚から出して楽しんでおります。

 北大路魯山人が常々言っていた言葉があります。

 「器は料理の着物」「器と料理は車の両輪」

まさしくその通りだと思います。器と料理の響き合いを楽しむのも、食事の醍醐味でしょう。
料理だけではなくて、器も命を育む食事として有り難く使いたいものです。

(人権擁護推進主事 西古孝志)

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