「立春大吉」「鎮防火燭」
明けましておめでとうございます。今年のお正月は前日の大晦日も含めて穏やかな年越しではなかったでしょうか。大晦日には久しぶりに帰省をした家族がそろい賑やかな年越しを迎えると町内あちらこちらの寺からは除夜の鐘の音が響き一気に年越しムードとなります。今年の新年は穏やかだったせいか元旦より新年のご挨拶におこしになる方々が多かったように思いますが、お寺の山門や玄関の両脇に「立春大吉」「鎮防火燭」と書かれたお札に気がつかれた方々がいらっしゃったと思います。このお札は皆さんが今年一年も安寧である事を願い、「立春大吉」「鎮防火燭」と護符(ごふ)を貼りつけて祈願しているのです。
立春大吉(りっしゅんだいきち)
立春とは、二十四節気の一つでちょうど冬至と春分の真ん中に位置し、冬が終わり春が始まる節目の日のことでです。昔は立春が一年の始まりとされていたそうですが、厳密に言うと、暦の上では一年の始まりは正月(元旦)で、生活の始まりは立春と別のものととらえられていたそうです。立春の前日である「節分」の日に豆まきをして一年間の厄を払って新しい一年の始まりである立春の日に厄(わざわい)が来ないように、”吉”が最も良い運勢になりますようにと願いを込めて「立春大吉」のお札を貼ったことが今も続いています
鎮防火燭(ちんぼうかしょく)
護符(ごふ=お守り札)のような物で意味は、火(釜戸の火など)や燭(ともしび)を鎮(しず)め、防ぐとか災いを招く自然災害を鎮め防ぐとも言われ、あえて「火」の文字を小さく「水」のように書くような書式もあります。つまり、「火の用心」と同じ目的の札ですが、「火の用心」は”火の後始末には気おつけましょう!”とか人に対して呼びかける言葉ですが、「鎭防火燭」にはそのお札自体に火を鎮め防火の水を呼ぶ力があると言われています。二十四節気の清明(せいめい)に用意されます。中国における清明節は祖先の墓に参りをする時期でもあります。
禅宗寺院に於いては、「僧堂清規(そうどうしんぎ)」により、『清明節に[鎮防火燭札]を書いて諸堂に貼り、立春に於ける[立春大吉札]と並ぶ護符である。』とも記されています。
本来、令和2年の旧正月の春節は1月25日、立春は2月4日そして清明は4月4日となりますが、新暦の正月の1月1日にそれぞれを張り替えたり一緒張り替えたりとさまざまのようです。また、この護符を2枚セットにして立春符とも呼ばれ寺院だけではなく各家庭でも掲げられる場合もあります。しかし、意味合いは同じで“厄(災い)の無い良い年でありますように!”との願いを込めた護符なのです。