なんのおかげか(若槻書記)

 お盆も終わりほとんどのお寺さんはほっと一息つけるころになりました。わたくしもその一人。ようやく慌ただしく大汗をかく時期もすぎたかなと思えます。台風10号の影響を心配しておりましたが、島根県は大きな被害もなく通過してくれました。人は口々に「大社さんのおかげだ」「出雲富士のおかげだ」と言います。「どこそこのなになに寺のおかげだ」と言われる方に会ったことがないのは、まだまだ私の布教が足りないなと思う今日この頃です。

 ということで今回もボルダリングのお話です。
 先日のIFSCクライミング世界選手権にて、見事な成績で大会を終えた楢崎智亜選手、野口啓代選手の両名は来年の東京オリンピックへの出場権を獲得した。日本代表として頑張って頂きたいと思う。日本の選手は全体的にみてもレベルが高いので、メダルも期待できるし、今から楽しみである。みんなで応援しましょう。
 前回の投稿の最後では実際の岩場について紹介したいと書いた。
 こちらのサイトはかなり動画がそろっていると思うので良ければ見ていただきたい。

クライミングチャンネル
https://climbing-channel.com/
『クライミングチャンネル』といって、個人個人で登っている姿を撮影してアップロードできるようになっている。島根県も岩場はあるが、私の知り合いのクライマー達は岡山、広島に行くことが多い。中には、岩を登り切った時の達成感から雄叫びを上げる人、悠々と一人で登り切って喜ぶ人、友人たちと楽しさを分かち合う人と様々である。大自然の中、鳥の鳴き声や川のせせらぎ、風で木々が揺れる音を全身で感じながら目の前の岩に向き合うのは本当に得難い贅沢な時間を過ごしていると感じさせられる。禅宗の祖、達磨大師は岩に向かって坐禅を組んで面壁九年。達磨大師もクライミングしたことはあるのだろうか。
 こういった宣伝を続ければ興味をもってくれる方もあるかと思うが、良い面だけでなく悪い面も知って頂きたい。スポーツにケガはつきものだが、クライミングは特に注意したい。室内のジムでなく外の岩を登りに行くのは完全に自己責任。マットを持っていく、スポッター(登る人の安全を補助する人)を連れていくなど、最低限出来ることはよくよく周りの経験者に確認して頂きたい。
 またそれぞれの岩場のマナーにも注意したい。挨拶する、ゴミは持ち帰る、遊んだ後は掃除をする。当たり前の事だが、これを怠ると他のクライマーにも迷惑がかかる。中には登山者などのマナーが悪いために、土地の所有者が一般への開放をやめてしまうというケースもある。今、私たちが楽しく遊べているのは先人たちがその土地ごとに信頼関係を培ってきたからなのだ。「クライミングをする人のおかげで岩場がきれいだ」そう言ってもらえるように、関係をこれからも育んでいこう。

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