不妄語戒(副所長)

     

 嘘をつくなという戒律です。

 子どものころから「嘘は泥棒の始まりだ」「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれるぞ」などと教えられて来ました。

しかし「嘘をついたことがない」ということが嘘であると言われるようにうまく生きるためには多少嘘をついてしまうのが人間です。

「嘘も方便」「嘘で丸めて上手でこねる」などのことわざがありますが嘘も少々は許されて来ました。でも暗黙のうちに許される範囲があるようです。

 漢字はよくできています。嘘は口に虚しいと書きます。本音をかくし口から出す言葉で虚しくなることなのです。人を傷つけたり、惑わせたり、欺いたりするような嘘は自分の欲望が達せられたとしても辻褄が合わなくなって、人にも嫌われ信用を失い自分が苦しむことになります。オレオレ詐欺や還付金詐欺も巧妙な嘘ですが、よくもまあ次々と工夫をこらした嘘が出来るものだと感心します。

 最近の政治にも何か怪しい嘘が見え隠れしているようでなりません。追及に対して「記憶にない」とか「認識がない」とかの答弁があたりまえになっています。でも壁に耳あり天井に目ありですぞ。本当はみんながよくわかっているのです。

 小さい嘘はすぐにばれるけれども、大きい嘘はばれないだろう、言葉はすぐに忘れられるだろうなどと考えていてはいけません。しだいに信頼を失って我が身を滅ぼすことになりかねません。

安心で安全、みんなが幸せな生活をするには嘘をつかないことが大切だと思うのです。

                                       (副所長 楫野光範)

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