正月暦考(佐藤副所長)

暦を見ると、色々と書いていますが、あまり見慣れない言葉や、聞いたことは有るが意味の分からない言葉がでてきます。例えば正月なら、小正月とか、やぶ入りとか、二十日正月とかです。これは正月やお盆の期間が昔はもっと長かったためです。

そもそも、1月の新月から満月まで、つまり旧暦1日から15日は八百万の神に感謝する正月。7月の新月から満月までは諸精霊を供養するお盆でした。その間は無礼講で人々は羽を伸ばしていたようです。奉公人は奉公先が正月行事で忙しいのでその間休めず、15日がすんでから、やぶ入りという大晦日・正月の振替休みで帰省し、20日に帰ってきて本格的に働き始めるということで二十日正月と言われるようになりました。

そのうち世の中が忙しくなってくると、正月・盆の期間が風紀は悪くなるし、人々は働かないでけしからんということで期間を半分の7日間とされました。正月は元旦が無い訳にいかないので、前半7日に。盆は日中暑いので、夜の行事が多いのですが、月明かりのある後半7日間とされました。一方、1月15日は小正月となりました。小豆粥を食べる風習の残っている所も有るようです。   

短縮された正月の7日間は松の内と呼ばれ奉公人の振替休みはその後11日までとなり、その日を鏡開きとか、帳開き、蔵開きとか言うようになりました。

さらに時代は進み正月は3日間になり、奉公人の振替休みは7日の人日の節句までとなったようです。

尚、蛇足ながら、坊さんの正月は、正月の三ヵ日早朝に御祈祷を終えた後、つまり3日の朝以降に御祈祷した寿餅や御札を持って遅ればせながら年始に回るのを言います。

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